MALDI微生物同定試験 (Biotyper)

特長

  • 当日午前中までの到着検体 (細菌・酵母の純粋培養物に限る) は、即日納品

  • DNA塩基配列解析と比較し、迅速、低価格での報告が可能

  • バイオセーフティレベル付きで報告

  • 細菌、カビ(糸状菌)、酵母のすべてのカテゴリーの同定に対応

概要

細菌、カビ、酵母のタンパク質マススペクトルを取得し、データベースと照合することで、検体の帰属種・近縁種を同定します。MALDI-TOF MS法は、迅速性やコストの低さから臨床・食品・製薬など様々な分野で普及が進んでいます。
細菌および酵母では、当社営業日の午前中に到着し、検体が純化された平板培養物、または解析を実施するコロニーやカテゴリーが明確であった場合には、ご送付検体より直接解析を行い、即日報告が可能です。
カビを対象にした試験では、タンパク質抽出を効率よく行うために液体培地での培養が必須となりますが、検体受領から培養含めて、2〜4日で報告が可能です。また、DNA塩基配列解析に比べ安価ですので、コストを重視されるお客様におすすめです。
同時または追加で、DNA塩基配列解析をご希望される場合に「MALDI割」を適用します。

受入可能な検体

カテゴリー

必要量

送付方法

備考

細菌

平板塗抹による
純粋培養物
( 平板培地 1 枚 )

普通寒天培地、 標準寒天培 地、 SCD 寒天培地など生育 に適した平板培地

十分な生育を確認後、 可能な限り早くお送り下さい※ 1, 2, 3。
純粋培養された平板培養物を “常温” でお送り下さい。

冷蔵により、 タンパク質合成経路に変化が生じることから、一旦冷蔵で保管された検体は、 再培養後、 常温でお送り下さい。
解析対象とするコロニーの指定がある場合は、 解析するコロニー を〇で囲むなど、 シャーレ上に目印をして下さい。

酵母

YM 寒天培地、 SCD 寒天培地 など生育に適した平板培地

カビ※ 4

PDA やサブロー寒天などの栄 養培地で十分な生育が確認で きる検体

十分な生育を確認後、 検体をお送り下さい※ 3。 一旦冷蔵で保管された検体も再培養は不要です。 解析対象とするコロニーの指定がある場合は、 解析するコロニー を〇で囲むなど、 シャーレ上に目印をして下さい。

  • 平板培養物中に複数種のコロニーが存在する場合には、解析するコロニーを〇で囲むなど、シャーレ上に目印をして下さい。
  • カテゴリー変更やコンタミネーションなどに起因し、確認のご連絡が必要な場合には、即日報告できない場合があります。
  • 試験対象が試験当日の 12:00 までに確定できない場合には、翌日試験をします。

※1 培養後、大幅に時間が経過している検体は解析に適しません。可能な限り培養 24〜48 時間の微生物株をお送り下さい。
※2 混釈培養物は直接解析ができません。平板塗抹による再培養(有償)の後、解析となります。
※3 コンタミネーションなどで直接解析ができない検体は、単離作業(有償)が必要となります(別途納期)。
※4 当社にて解析前に培養を行いますので、培養後時間が経過している微生物株でも生育が認められれば解析可能です。

解析の流れ

  • 純度確認

  • 培養 (カビの場合)

  • サンプル調製

  • 測定 ライブラリサーチ

  • レポート作成

納品内容

試験項目

報告内容

MALDI 微生物同定試験 (Biotyper)

• データベースとの照合結果から推定される候補菌種 ( 同定結果 )
• 候補菌種のバイオセーフティーレベル (BSL)
• 参考データ : スコア値が高かった上位 10 位までのデータベース登録微生物株の結果レポート

報告書サンプル

SAMPLE/16S rDNA-500 (BLAST) 報告書v1.12のサムネイル

使用データベースと対象微生物

データベース

対象微生物

MBT Compass® Library

細菌、 酵母、 カビ ( 糸状菌 )

MBT Filamentous Fungi Library

カビ ( 糸状菌 )

「Main Spectra(MSP)」を基本コンセプトとし、各微生物株を複数回測定して各ピーク(分子量)とその強度の平均値を算出取得しています。マススペクトルのうち、検出頻度の低いピークはノイズとして除去して検出頻度の高い特徴的なピークのみを用いてデータベースを構成しています。同一菌種でも複数株のマススペクトルデータが登録されているため、菌株間でマススペクトルパターンに多様性がある場合でも正確な同定が可能とされています。

価格・納期

試験項目

株数

単位

単価(税抜)

目安納期

MALDI 微生物同定試験 ( 細菌 Biotyper )
MALDI 微生物同定試験 ( 酵母 Biotyper )

1~3

6,000 円

即日18:00まで

 ( 月~金曜日の午前中までに到着 および試験実施可能と判断された検体、 純粋培養物 ・ オンライン納品に限ります )

4~10

5,000 円

11~20

翌営業日となる場合がございます

21~

お問合せ下さい

MALDI 微生物同定試験 ( カビ Biotyper )

1~3

11,000 円

以下参照

4~10

9,000 円

カビ解析 ・ 報告納期

検体到着日

月曜日

火曜日

水曜日

木曜日

金曜日

解析 ・ 報告日※ 1,2

木曜日または金曜日

翌週の月曜日または火曜日

※1 報告日が休業日の場合、翌営業日での報告となります。
※2 培養(目安日数:2〜3日)において生育が充分と判断した日に試験を開始します(翌営業日報告)。試験の可否判断は、当社に一任下さい。

オプション

<オプション> 形態観察 ・ クラスター分析

クラスター分析は、お客様専用のユーザーデータベースを作成し、登録したスペクトルデータからデンドログラムを作成し、検体間の類似度を可視化します。MALDI Biotyperのクラスター分析の場合、「●%以上で同一種」といった明確な数値基準がないため、デンドログラムから各検体の種の異同を判断することはできませんが、複数の検体を大まかにグルーピングすることが可能です。また、MALDI微生物同定試験で同定できなかった検体をDNA塩基配列解析し、クラスター分析の結果に反映させることで、未同定株の種を推定することも可能です。
スペクトルパターンでは、PDF形式のマススペクトルデータの画像とExcel形式のピークリストを出力し、報告します。

試験項目

報告内容

単価 ( 税抜 )

目安納期

クラスター分析※ 1, 2, 3

お客様専用のユーザーデータベースを作成し、 登録したスペクトルデータ からクラスター分析を行います。 デンドログラムを作成することで、 検体 間の類似度が可視化できます。

+ 4,000 円

+ 2 営業日~

スペクトルパターン
( 画像+ピークリスト )

マススペクトルデータの画像 (PDF 形式 ) とピークリストを (Excel 形式 ) を出力します。

+ 3,000 円

+ 1 営業日~

※1 3検体以上からクラスター分析が可能です。ご指定の検体のマススペクトルデータをお客様専用のMALDIユーザーデータベースに追加登録の上、クラスター分析を行います。
※2 MALDI微生物同定試験と同時依頼に限ります。クラスター分析の結果はMALDI微生物同定試験の報告書に含みます。
※3 ユーザーデータベースの株数が100株以上となる場合には、納期を延長することがあります。

ご依頼前の同意事項

・ 見積書・注文書の取り交わしを省略し、依頼書および検体の到着をもって注文とし、試験を開始します。
・ 10検体までは「即日18:00まで」、11~20検体は「即日または翌営業日18:00まで」の報告となります。21検体以上の場合には、お問い合わせ下さい。
・ 報告書分冊の場合は、ご依頼の際にご指示をいただく必要があります。また、報告日は翌営業日となる場合があります。
・ 報告書に付属している結果データファイルの検体ごとの分割はできません。
・ カビの試験を行う場合、サブロー液体培地による培養が必須となります。即日報告ではありません。
・ コンタミネーションにより単離の必要がある検体は、別途有償での作業が必要となります。
・ 検体受付の前営業日17:00までに依頼書の到着がない場合、所定の日数での報告ができないことがあります。
・ データベースの菌種のタンパク質マススペクトルとのパターンマッチングによる試験のため、登録されている菌種と異なる菌種であっても、類似のマススペクトルを示した場合にはその菌種が検体の同定結果として得られることがあります。また、登録されている菌種であっても、検体のタンパク質組成によっては、同定結果が得られない、または異なる菌種名として同定結果が得られることがあります。
・ スラント、保存アンプル作製などの培養を含む追加試験を行う場合、別途、検体の再送をお願いすることがあります。
・ カビ・酵母の場合、テレオモルフ(有性時代)とアナモルフ(無性時代)の判別はできません。
・ 非常に近縁な菌種または亜種が存在する検体は、本試験により区別できないことがあります。
・ プロトコルは、ブルカージャパン株式会社の推奨に基づきます。
・ ご依頼前の同意事項(共通)を必ずご確認下さい。
・ ライブラリに登録されている菌種であっても、検体のタンパク質組成によっては、同定結果が得られない、または異なる菌種名として同定結果が得られることがあります。
・ バイオセーフティレベルは、「細菌:日本細菌学会バイオセーフティ指針」、「カビ・酵母:Atlas of clinical fungi」または「各保存機関の情報」 を採用しています。他の機関や海外との情報が異なる場合があります。
・ バイオセーフティレベルは、病原体の危険度レベルに基づく分類です。結果に報告されるバイオセーフティレベルは、当社がその安全性(危険性)を保証するものではありません。
・ バイオセーフティレベル (BSL) は、各微生物種に対し定められています。報告書で示すBSLは目安であり、検体自体のBSLを示すものではありません