カビDNA塩基配列解析・分子系統解析

特長

  • 日本薬局方を準用したプロトコルによる同定

  • 基準標本やタイプ由来株などの塩基配列で構成される「微生物同定データベース」で解析

  • 最新の分類体系を考慮した分子系統解析を実施

  • 帰属種・近縁種のバイオセーフティレベル付きで報告

  • 新種提唱論文用データまで幅広く対応

概要

DNA塩基配列解析によるカビの同定には、rDNAのITS領域 (以下、ITS rDNA) および28S rDNAのD1/D2領域を使った解析が行われてきましたが、近年は種レベルの同定にはITS rDNA領域が基本となりました。しかし、国際塩基配列データベースには既知種全てのDNA塩基配列は登録されておらず、さらに分類の基準となるタイプ情報とそのDNA塩基配列情報との紐づけは不完全な状況です。また、国際塩基配列データベースに登録されている情報には、疑義のあるものも少なくありません。そのため、相同性検索の結果で得られた個々のデータを採用するか否かの判断には、最新の分類学的研究を鑑みた調査が必要であり、この調査には多大な手間と時間を要します。当社では、BLAST以外の解析について、可能な範囲で文献や配列情報などを調査し、最新の分類体系を反映させた報告をします。

新種提唱などの論文投稿では、更なる精査が必要となり、分子系統解析が必須となります。当社では、論文投稿に耐え得るレベルでの分子系統解析も可能です。近隣結合法 (NJ; Neighbor Joining) のように距離行列による手法に加え、最節約法 (MP; Maximum Parsimony) や最尤法 (ML; Maximum Likelihood) による分子系統解析にも対応しています。

受入可能な検体

種類

必要量

備考

平板培養物

1 枚

当社で培養確認を行うか、 指定コロニーから直接 DNA を抽出するかの ご選択が可能です。 生育性や純粋性に疑義がある場合には、 ご連絡し ます。

液体培養物
スラント ( 斜面培養物 )
アンプル ・ グリセロールストック

1 本

当社での培養確認を必須とします。 培養条件をご指示下さい。 液体培 養物から直接解析を実施する場合、 承諾書にご署名をいただきます。

DNA 抽出物

濃度 : 30 ng/µL 以上
量 : 50 µL 以上

PCR 増幅を確認している場合には、 電気泳動像のご提供をお願いしま す。 承諾書にご署名をいただきます。

PCR 産物

濃度 : 100 ng/µL 以上
量 : 20 µL 以上

電気泳動像のご提供をお願いします。 承諾書にご署名をいただきます。

シーケンス生データ
(ab1 ファイル )
塩基配列テキストファイル (fasta ファイルなど )

オプションの簡易分子系統解析、分子系統解析のみのご依頼となります。 シーケンサーから出力された生データ (ab1 ファイル ) から塩基配列を決 定し、 解析することも可能です。

解析の流れ

  • 培養・純度確認

  • DNA抽出

  • PCR増幅

  • シーケンス

  • 塩基配列決定

  • 相同性検索

  • 分子系統解析

納品内容

試験項目

報告内容

付属データ

ITS rDNA (BLAST)
28S rDNA-D1/D2 (BLAST)

・ 国際塩基配列データベース照合結果の上位30位

・ DNA塩基配列データ
・ シーケンス波形データ

ITS rDNA
28S rDNA-D1/D2

・ 国際塩基配列データベース照合結果の上位30位
・ 当社微生物同定データベース照合結果の上位30位
・ 系統樹
+同定結果 +帰属種 ・ 近縁種のバイオセーフティレベル

ITS rDNA ( 考察付 )
28S rDNA-D1/D2 ( 考察付 )

・ 国際塩基配列データベース照合結果の上位30位
・ 当社微生物同定データベース照合結果の上位30位
・ 系統樹
・ 考察 (同定に至った経緯の文章説明)
+同定結果 +帰属種・ 近縁種のバイオセーフティレベル

報告書サンプル

SAMPLE/16S rDNA-500 (BLAST) 報告書v1.12のサムネイル

価格・納期

試験項目

検体数

単位

単価(通常)(税抜)

単価 (特急)※1(税込)

目安納期

ITS rDNA (BLAST)
または
28S rDNA-D1/D2 (BLAST)

1~8

18,000 円

6営業日

9~16

16,000 円

7営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

ITS rDNA※ 2
または
28S rDNA-D1/D2
※ 2

1~8

26,000 円

29,600 円

9営業日

9~16

24,000 円

27,200 円

10営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

ITS rDNA ( 考察付 )
または
28S rDNA-D1/D2 ( 考察付 )

1~8

29,000 円

32,600 円

12営業日

9~16

27,000 円

30,200 円

14営業日

17~24

お問い合わせ下さい

25~

お問い合わせ下さい

試験項目

検体数

単位

単価(通常)(税抜)

単価 (特急)※1(税込)

目安納期

ITS rDNA (BLAST)

28S rDNA-D1/D2 (BLAST)

1~8

27,000 円

10 営業日

9 ~

お問い合わせ下さい

ITS rDNA※ 2

28S rDNA-D1/D2
※ 2

*解析は遺伝子領域ごとに行います。

1~8

43,000 円

48,400 円

15 営業日

9 ~

お問い合わせ下さい

ITS rDNA ( 考察付 )

28S rDNA-D1/D2 ( 考察付 )

*解析は遺伝子領域ごとに行います。

1~8

49,000 円

54,400 円

18 営業日

9 ~

お問い合わせ下さい

※1 DNA特急は、5営業日で「相同性検索結果の上位5位」を中間報告します。また、一度にお受けできる検体数は8株までです。
※2 ISO/IEC 17025認定同定試験もあります。詳しくは「衛生管理向け微生物同定試験カタログ」をご覧いただくか、お問い合わせ下さい。

  • 常用培地以外の培地や嫌気条件での培養などをご指定の場合、追加費用が必要となります。【ガイド】 追加費用のご案内をご参照下さい。
  • ご希望のお客様には、帰属種・近縁種の分離源情報を提供します (試験項目 BLAST は対象外)。
オプション

<オプション> 配列比較・分子系統解析

・ 簡易分子系統解析や分子系統解析は、お手持ちのシーケンスデータ (ab1ファイル) や塩基配列テキストファイルから行うことも可能です。
・ 分子系統解析は、近隣結合法 (NJ法) の他、最節約法 (MP法) や最尤法 (ML法) も対応します。

価格・納期

試験項目

報告内容

単価(税抜)

納期

配列比較

ご指定の微生物株の配列比較 ( アライメント ) を行い、 相違箇所を明確にします。

2 株間比較

+ 1,000 円

+ 1 営業日

3 株間比較

+ 2,000 円

簡易分子系統解析

当社微生物同定システム 「ENKI®」 により分子系統解析し、 帰属種 ・ 近縁種を推定します。

考察なし

10,000 円

5 営業日

考察あり

13,000 円

7 営業日

配列決定

+ 2,000 円

+ 1 営業日

分子系統解析※
(ITS rDNA)
(28S rDNA-D1/D2)

論文投稿などを前提とした分子系統樹を作成し、 検体の帰属種 ・ 近縁種を推定します。
既報の調査、 新種データの確認、 必要な塩基配列の選定および取得を行い、「BioEdit」 および「MEGA」 を用いて分子系統樹を描画し、 系統的な位置を推定します。報告は分子系統樹データを「PowerPoint」 ファイルで納品します。
なお、 ご指定のない場合、 近隣結合法 (NJ 法 ) により分子系統樹を作成します。

シーケンス
+分子系統解析

64,000 円~

24 営業日~

分子系統解析のみ

46,000 円~

18 営業日~

※ 近隣結合法 (NJ法) 以外の系統樹作成をご希望の場合、追加費用が必要になることがあります。

簡易分子系統解析 と 分子系統解析の違い

活用できる分野
品質管理、衛生管理

解析目的
・検体がどの既知種に近縁なのかを推定する

系統解析に供するデータまたは塩基配列データ
・当社微生物同定システム「ENKI®」登録の基準株の塩基配列データ

活用できる分野
学術研究、論文投稿など

解析目的
・検体の分類学的位置を推定する

系統解析に供するデータまたは塩基配列データ
・主に対象分類群の最新の文献を参照した分類学的位置を推定するために必要と考えられる塩基配列データ

ご依頼前の同意事項

・ 多検体でご依頼の場合の目安納期は、お問い合わせ下さい。
・ ご依頼前の同意事項(共通)を必ずご確認下さい。
・ PCR時のポリメラーゼ反応エラーおよびシーケンサーのシグナル強度に起因する混合塩基の判定、ばらつきにおける試験結果への影響は考慮しておりません。
・ 検体の状態によりPCR増幅ができないことがあります。
・ バイオセーフティレベルは、「細菌:日本細菌学会バイオセーフティ指針」、「カビ・酵母:Atlas of clinical fungi」または「各保存機関の情報」 を採用しています。他の機関や海外との情報が異なる場合があります。
・ バイオセーフティレベルは、病原体の危険度レベルに基づく分類です。結果に報告されるバイオセーフティレベルは、当社がその安全性(危険性)を保証するものではありません。
・ バイオセーフティレベル (BSL) は、各微生物種に対し定められています。報告書で示すBSLは目安であり、検体自体のBSLを示すものではありません。