in silico DNA-DNA hybridization (in silico DDH) 解析

特長

  • 全ゲノム配列やドラフトゲノム配列の類似度から、細菌の種の異同を決定

  • 高い再現性

  • 全ゲノム配列やドラフトゲノム配列の活用が可能

概要

in silico DDH解析は、対照株と比較株の全ゲノム配列やドラフトゲノム配列をコンピュータ上で比較し、2株間の種の異同を評価する方法です。この試験はゲノムDNA抽出物を用いたDNA-DNAハイブリッド形成試験と正の相関があるとされています1,2)実際のところ近年ではin silico DDH解析の方法として、計算方法の異なるANI解析およびGGDC解析を行い、両方の解析結果を併記して新種提唱をしている論文が増加傾向にあります。さらに解析後、全ゲノム配列やドラフトゲノム配列がお手元に残ることもin silico DDH解析の特長と言えます。
全ゲノム配列やドラフトゲノム配列取得のためのシーケンサーは「PacBio® Revio / Sequel IIe」 (Pacific Biosciences 社製)を使用します。
既に全ゲノム配列やドラフトゲノム配列を取得されている場合には、ANI解析、GGDC解析のみのご依頼も承ります。

ゲノム解析による細菌の分類学的種の異同判定

細菌の新種提唱や細菌を用いた特許出願・侵害調査などの際、分類学的な同定 (同種、別種判定) を要求される機会が増えています。現在の分類学的な種の異同の判定基準としては、全ゲノム配列やドラフトゲノム配列を比較する方法【in silico DNA-DNA hybridization (in silico DDH 解析)】 および抽出されたゲノムDNA同士が交雑 (ハイブリッド) を形成する度合いを求めるDNA-DNAハイブリッド形成試験方法などがあります。
当社では、ゲノム配列を用いたAverage Nucleotide Identity (ANI) 解析およびGenome-to-Genome Distance Calculator (GGDC) 解析を行っています。

  • Average Nucleotide Identity (ANI) 解析

    ANI解析は、対照株のゲノム配列をコンピュータ上で1,020 bpに断片化し、比較株のゲノム配列に対して各断片の相同性検索を行い、それらの相同値の平均値からゲノム配列間のANI値を求めます。ANI値が95%以上であれば同種、95%未満であれば別種 (新種) と判定します。

  • Genome-to-Genome Distance Calculator (GGDC) 解析

    GGDC解析は、コンピュータ上で対照株と比較株のゲノム配列間の相同性の高い領域を特定し、それらのペアワイズ距離を求めることによりin silico DDH値を求めます。GGDCを用いたin silico DDH値が70%以上であれば同種、70%未満であれば別種 (新種) と判定します。また、70~80%の場合には同種別亜種とされています3)

参考文献

  • (1)

    Goris J, Konstantinidis KT, Klappenbach JA, Coenye T, Vandamme P, et al. DNA-DNA hybridization values and their relationship to whole-genome sequence similarities. Int J Syst Evol Microbiol 2007;57:81–91.

  • (2)

    Meier-Kolthoff JP, Auch AF, Klenk H-P, Göker M. Genome sequence-based species delimitation with confidence intervals and improved distance functions. BMC Bioinform 2013;14:60.

  • (3)

    Meier-Kolthoff JP, Hahnke RL, Petersen J, Scheuner C, Michael V, et al. Complete genome sequence of DSM 30083T, the type strain (U5/41T) of Escherichia coli, and a proposal for delineating subspecies in microbial taxonomy. Stand Genom Sci 2014;10:2.

受入可能な検体

種類

必要量

備考

平板培養物

1 枚

当社で培養確認を必須とします。 培養条件をご指示下さい。 生育性や純粋性に疑義がある場合には、 ご連絡します。

液体培養物

1 本

スラント ( 斜面培養物 )

アンプル

グリセロールストック

集菌体

目安湿重量
1 g以上

集菌後、 5 mM EDTA バッファーで 2 ~ 3 回程度洗浄し、 遠心 ・ 集菌後 は凍結して冷凍 でお送り下さい。 集菌体から直接 DNA を抽出します。

ゲノム配列データ

対象株の完全長ゲノム配列やドラフトゲノム配列が存在すれば、 お手持 ちのゲノム配列データから ANI 解析のみのご依頼が可能です。

解析の流れ

  • 培養

  • DNA抽出

  • DNAの品質検査

  • ゲノムシーケンス

  • アセンブリ

  • 塩基配列決定

  • in silico DDH解析 ANIまたはGGDC

  • 測定

納品内容

試験項目

報告内容

付属データ

ゲノム配列解析 (DNA抽出含 )

・ 培養作業報告
・ シーケンス結果 (配列)

* PacBio Revio / Sequel IIe ゲノム配列解析には、作業概況 (提携先レポー ト) が含まれます。 

・ ゲノム配列データ

ANI 解析

・ ANI解析結果 

GGDC解析

・ GGDC解析結果

価格・納期

試験項目

単位

単価(税込)

目安納期

PacBio Revio / Sequel IIe
ゲノム配列解析

アセンブリおよび
オートアノテーション込み

お問い合わせ下さい

お問い合わせ下さい

ANI解析

1 : 1 の解析の場合

5,000 円

ゲノム配列データ受領後
10 営業日

1 : 2 の解析の場合

10,000 円

GGDC解析

1 : 1 の解析の場合

5,000 円

1 : 2 の解析の場合

10,000 円

※1 当社で培養を行う場合、別途培養費 5,500円 (税込)~が掛かります。

  • 常用培地以外の培地や嫌気条件での培養などをご指定の場合、追加費用が必要となります。【ガイド】 追加費用のご案内をご参照下さい。
  • 対照株数が複数の場合には、お問い合わせ下さい。

ご依頼前の同意事項

・ シーケンス作業およびアノテーションの付与は、業務提携先にて行います。
・ 業務提携先でのゲノムDNAの品質検査において「不合格」となった検体があった場合には、ご連絡の上、納期を延長することがあります。
・ 当社で対照株を購入する場合、別途追加費用が必要となります。
・ 本解析は対照株 (検体) の系統学的な解析が終了し、近縁種の絞り込みができていることが必要です。
・ ANI解析は、分類群によっては推奨されていない場合があります。
・ ご依頼前の同意事項(共通)を必ずご確認下さい。
・ 検体の生育性の有無や培養時間は、その菌の性状に依存します。当社は試験の遂行に最善の努力を払いますが、実施の確実性を保証するものではありません。
・ 培養条件や培養スケールの違いにより、菌株の性状が変化する可能性があります。これらの試験結果への影響について、当社は保証するものではありません。
・ 培養は、お客様のご指定、または当社で適当と判断した培養条件で行いますが、十分な生育が得られることを当社は保証するものではありません。
・ バイオセーフティレベルは、「細菌:日本細菌学会バイオセーフティ指針」、「カビ・酵母:Atlas of clinical fungi」または「各保存機関の情報」 を
採用しています。他の機関や海外との情報が異なる場合があります。
・ バイオセーフティレベルは、病原体の危険度レベルに基づく分類です。結果に報告されるバイオセーフティレベルは、当社がその安全性(危険性)を保証するものではありません。
・ バイオセーフティレベル (BSL) は、各微生物種に対し定められています。報告書で示すBSLは目安であり、検体自体のBSLを示すものではありません。