糞便・腸管内容物からのDNA抽出方法の一部変更のご案内

 説 明

当社では、DNA抽出のご依頼の増加に対応するためビーズ式ホモジナイザーPrecellys Evolution (Bertin Instruments, 以下Precellysと略) を導入いたしました。Precellysを使用した菌叢解析 (アンプリコンシーケンス解析) は、一例としてUchiyamaら1. により行われています。

このPrecellysでの処理条件を検討し、これまで使用しているビーズ式組織・細胞破砕装置 FastPrep-24 (MP Biomedicals, 以下FastPrep) と同等の細胞破砕効率かつ菌叢解析結果が得られる条件を確認いたしました。そこで2020年6月1日以降の検体受け入れ分より、Precellysを用いたビーズ破砕処理によるDNA抽出を行います。

過去のFastPrepによるDNA抽出を行った試験結果と比較をご希望のお客様は、FastPrepによるDNA抽出も選択可能です。ご希望のお客様はご依頼時、依頼書にてご選択ください。

 概 要

DNAを用いた解析では、細胞破砕処理が結果に影響を及ぼす重要な要素であることから、両機種で細胞破砕処理をした後の抽出DNAを比較しました (社内試験: 健常人24名の糞便を用い、両細胞破砕装置によるDNA抽出物を比較)。

FastPrepとPrecellysによる細胞破砕処理後のDNA抽出物に関して以下の比較を実施しました。
1) 二本鎖DNA濃度
2) リアルタイムPCRによる糞便中全真正細菌コピー数
3) 16S rDNAアンプリコン解析による属レベルでの存在割合
4) 菌叢の多様性

1) ~ 4) について、FastPrepとPrecellysとで細胞破砕処理方法による違いは見られなかったことから、当社の破砕条件においてFastPrepおよびPrecellysは同等の破砕効率であることが示されました。

 FastPrepとPrecellysによる細胞破砕処理の比較

被験者24名に保存液入りのスプーンタイプ採便容器へ便を採取いただき、FastPrepとPrecellysによる細胞破砕処理後、得られた粗抽出物を精製し、二本鎖DNA濃度および全真正細菌コピー数を測定しました。

精製DNAをアンプリコン解析 (N=24/破砕機器) に供し、得られたリードの帰属分類群をRibosomal Database Project(RDP)で推定し、両精製DNA間での群集構造の属レベルでの存在割合の相関を調べるとともに菌叢の多様性を比較しました。

結果1) 二本鎖DNA濃度
FastPrepとPrecellysとで細胞破砕処理方法の違いによる影響は認められませんでした (図1)。

図1. 抽出DNAの二本鎖DNA濃度の比較

結果2) リアルタイムPCR結果
FastPrepとPrecellysとで細胞破砕処理方法の違いによる有意な差は認められませんでした (図2)。

図2. 全真正細菌コピー数の比較

結果3) アンプリコン解析による属レベルでの存在割合の相関
FastPrepとPrecellysによる細胞破砕方法において、属レベルの存在割合で両手法に高い相関が認められました (図3)。

図3. 属レベルでの存在割合の比較

結果4) 菌叢の多様性比較
FastPrepとPrecellysとで細胞破砕処理方法の違いによる有意な差は認められませんでした (図4)。

図4. 菌叢の多様性の比較

 参考文献

  1. Uchiyama J, Murakami H, Sato R, Mizukami K, Suzuki T et al. Examination of the fecal microbiota in dairy cows infected withbovine leukemia virus. Vet Microbiol 2020;240:108547.

URL:https://www.tecsrg.co.jp/services/community-structure-analysis/intraintestinal-environment/dna-extract/