当社は、微生物の専門機関として、カビに関するさまざまな試験を提供しています。試験項目は複数あり、「どの試験を選べばよいかわからない」というご相談をいただくことも少なくありません。
このページでは、それぞれの試験の特長や活用場面を紹介します。試験選びの参考としてご活用下さい。
| 目的 | こんな場合(例) | 主な試験 | |
|---|---|---|---|
| 1. | 衛生管理を目的とした試験 | 工場の製造環境や製品から検出されたカビを同定したい | ・Rapid解析 ・DNA塩基配列解析 ・カビ形態Rapid ・同定試験セット(Standard) |
| 2. | 研究・開発を目的とした試験 | カビを詳しく解析し、学術論文、製品開発などに利用できるデータを取得したい | ・カビDNA塩基配列解析・分子系統解析 ・カビ形態観察 ・カビPremium ・カビ機能遺伝子解析 |
| 3. | 衛生管理、研究・開発の両方で活用できる試験 | 検体中にどのようなカビ・酵母が存在するのかを網羅的に調べたい | ・アンプリコンシーケンス解析 |
| カビを長期保存したい | ・保存アンプル作製・微生物株保管管理 | ||
| 4. | 技術を身につけたい | カビの培養・観察やDNA塩基配列解析を実践的に学びたい | ・テクニカルトレーニング |
試験内容やご依頼についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談下さい。
衛生管理を目的とした試験
Rapid解析/DNA塩基配列解析
DNA塩基配列解析により、属または種レベルで同定します。
納期に応じて、短納期の「Rapid解析」と通常納期の「DNA塩基配列解析」からお選びいただけます。
■ 特長(Rapid解析およびDNA塩基配列解析)
- 試験項目に応じて、当社独自の微生物同定データベースおよび国際塩基配列データベースを用いて解析
- バイオセーフティレベル(BSL)情報をあわせて報告
- 純粋培養物があれば、死菌体でも試験可能(培養物が古い等、DNAが残っていない場合は試験に適しません)
- 第十八改正日本薬局方 参考情報「遺伝子解析による微生物の迅速同定法〈G4-7-160〉」を準用したプロトコルによって同定
■ Rapid解析
- 簡易分子系統解析まで行って同定結果を報告
- 純粋培養物をご送付いただければ、4営業日で同定結果を報告。3営業日の中間報告コースあり
このような方におすすめ
- 工場の製造環境や製品から検出されたカビをできるだけ早く同定したい
■ DNA塩基配列解析
- 相同性検索のみで報告する試験と、簡易分子系統解析まで行って同定結果を報告する試験に対応。
- 同定結果を報告する場合、純粋培養物をご送付いただければ、最短9営業日で結果を報告。5営業日の中間報告コースあり
- 相同性検索のみの場合、純粋培養物をご送付いただければ、最短6営業日で報告
このような方におすすめ
- 費用を抑えて、工場の製造環境や製品から検出されたカビを同定したい
カビ形態Rapid
顕微鏡による形態観察を行い、カビの形態的特徴から識別可能なレベルまでの分類群を同定します。
■ 特長
- 基本的に属レベル(または近縁種)まで同定可能
- 4営業日で同定結果を報告
- バイオセーフティレベル(BSL)情報を併せて報告
- DNA塩基配列解析と比較して費用を抑えて実施可能
■ このような方におすすめ
- 種レベルまでの同定は必要なく、属レベルの情報を得たい
- 費用を抑えてカビの同定を実施したい
同定試験セット(Standard)
DNA塩基配列解析と形態観察のセットメニューです。DNA塩基配列解析に加え、分類学的に重要なコロニー形態や色調、菌糸、胞子等の形態を観察します。
■ 特長
- コロニー像、細胞形態等の写真で記録し、視覚的な情報として報告
- 当社微生物同定システム「ENKI®」を使用し、相同性検索および簡易分子系統解析を実施
- バイオセーフティレベル(BSL)情報を併せて報告
■ このような方におすすめ
- 製品・原料・環境等から分離されたカビを同定したい
- 同定だけでなく、形態学的な特徴も確認したい
MALDI微生物同定試験(Biotyper)
質量分析装置により微生物株のタンパク質のマススペクトルパターンを解析し、データベースとの照合によって帰属種・近縁種を同定します。
■ 特長
- DNA塩基配列解析より安価
■ カビの同定について
MALDI微生物同定試験で使用するデータベースには、細菌および酵母は約4,000種、カビは約200種が登録されています。カビは細菌や酵母と比較してデータベースへの登録数が少なく、同定に至らない可能性が高いため、カビの同定にはDNA塩基配列解析が適しています。
研究・開発を目的とした試験
カビDNA塩基配列解析・分子系統解析
rDNAのITS領域および28S rDNA D1/D2領域を対象としたDNA塩基配列解析を行います。
■ 特長
- 基準標本やタイプ由来株等のDNA塩基配列で構成された「微生物同定データベース」と「国際塩基配列データベース」を組み合わせて解析
- 最新の分類体系を考慮した分子系統解析に対応
- 新種提唱論文用データまで幅広く対応
- バイオセーフティレベル(BSL)情報を併せて報告
■ このような方におすすめ
- 学会発表や論文作成に利用可能な解析結果を取得したい
- 研究対象のカビの分類学的位置づけを明らかにしたい
- 製品開発のためカビを分類学的に正確に同定したい
カビ形態観察
カビの分類学上重要な形態学的特徴を調べ、帰属分類群を同定することを目的とした試験です。
カビ第一段階試験:巨視的および微視的形態観察により、属レベルの帰属分類群を同定
カビ第二段階試験:精細な形態観察を行い、文献記載データと比較し、総合的に種レベルの帰属分類群を同定
■ 特長
- 経験豊富な技術者による形態観察
- コロニー性状および細胞形態観察結果の顕微鏡写真付きで報告
- DNA塩基配列解析の追加試験として実施することで帰属種・近縁種との総合考察が可能
■ このような方におすすめ
- 分類学研究に必要な形態学的データを取得したい
- 論文や報告書に掲載可能な画像データを取得したい
- 形態観察をもとに、同定に至った根拠や考察を専門的な視点で確認したい
カビPremium
DNA塩基配列解析と形態観察を組み合わせた試験メニューです。
■ 特長
- DNA塩基配列解析単独での試験よりもより深い考察が可能
- コロニー形態および細胞形態観察結果の顕微鏡写真付きで報告
- Aspergillus 属およびPenicillium 属の種同定に特化したメニューも用意
- 帰属種・近縁種のバイオセーフティレベル付きで報告
■ このような方におすすめ
- 学会発表や論文投稿に向けて、データを充実させたい
- DNA塩基配列解析に加えて、形態学的な根拠も取得したい
- 特許取得や製品開発に向けて、カビの分類学的情報を詳しく取得したい
カビ機能遺伝子解析
機能遺伝子(β-tubulin、calmodulin、TEF-1 α)のDNA塩基配列解析により同定します。
■ 特長
- rDNAのITS領域や28S rDNAのD1/D2領域では種の識別が難しい分類群に有効
- 学術論文に基づき、各分類群の同定に有効な遺伝子を提案
- 複数の遺伝子を連結させて解析するマルチローカス遺伝子解析(MLSA)にも対応
■ このような方におすすめ
- ITS領域や28S rDNA D1/D2領域では種の識別が難しいカビを同定したい
衛生管理、研究・開発の両方で活用できる試験
アンプリコンシーケンス解析
検体中に存在するカビ・酵母を網羅的に解析し、その構成や各分類群の存在割合を可視化します。
アンプリコンシーケンス解析により、ITS2領域を解析します。
データ解析のソフトウエアは「QIIME2」です。
■ 特長
- 土壌、環境水から培養液、発酵食品といった幅広い検体に対応
- 検体のDNA抽出からデータ解析までの一括対応、DNA抽出物での受入、fastqデータ納品(解析なし)等、多様なニーズに対応(1検体から申込み可能)
■ このような方におすすめ
- 製造環境や原材料などに、どのような微生物が存在するのか網羅的に把握したい
- 研究・開発において、異なる検体や条件間で微生物群集を比較したい
保存アンプル作製・微生物株保管管理
保存性やコスト面に優れたL-乾燥法を用いた保存アンプル作製を行います。
■ 特長
- 微生物株の長期保管に最適
- 特許・微生物株保存機関への寄託に適合
- 保管管理は微生物資源の消失リスクを考えた非常時の備えにバックアップ保管として利用可能
■ このような方におすすめ
- 特許出願や微生物寄託を予定している
- 研究・開発で使用する微生物株を長期保存したい
- グリセロールストック以外の保存方法を検討している
技術を身につけたい
テクニカルトレーニング(カビ取扱い形態観察 初心者コース/遺伝子解析 カビ・酵母コース)
カビの取扱い方法、顕微鏡観察、DNA塩基配列解析等の技術を実践的に学べるトレーニングです。
■ 特長
- 実際に手を動かして技術を学ぶトレーニングスタイル
- 最大3名の少人数制
■ このような方におすすめ
初心者向けのコース
- カビの培養・観察方法等、基礎から学びたい
- スライド標本の作製や顕微鏡観察を実践的に学びたい
遺伝子解析のコース
- カビのDNA塩基配列解析を基礎から学びたい
- 実際の解析手順や機器操作を体験したい
よくあるご質問
試験内容が決まっていないのですが相談できますか?
はい。試験の目的、検体の状態、ご希望の納期等を伺い、適した試験を提案します。
「製品に発生したカビを調べたい」「製造環境から検出されたカビを調べたい」「研究対象株の分類学的位置づけを確認したい」等、目的に応じて提案します。
どのようなカビに対応していますか?
食品、医薬品、化粧品関連の製造環境や製品から検出されたカビをはじめ、土壌、水等自然環境由来のカビまで幅広く対応しています。
なお、人体への重大な健康影響が懸念される検体については、お取り扱いできません。詳しくはテクノスルガ・ラボサービス基本約款の第7条~第10条「受入検体と取扱」をご確認下さい。
純粋培養物でなくても依頼できますか?
はい、純粋培養物ではなくても依頼は可能です。検体の種類や状態によって対応可能な試験が異なりますので、まずはご相談下さい。
検体はどのように送ればよいですか?
検体の種類によって適切な採取方法や送付方法が異なります。
各試験ページに受入可能な検体や送付方法を掲載していますので、ご確認下さい。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
納期はどのくらいですか?
試験によって異なります。
Rapid解析の場合は、純粋培養物をご送付いただいた場合、最短4営業日で同定結果を報告します。
その他の試験については各試験ページをご確認いただくか、お問い合わせ下さい。
カビの種類が分からない状態でも依頼できますか?
はい、依頼時点でカビの種類が分かっている必要はありません。
検体の状態や試験目的を確認し、形態観察、DNA塩基配列解析等、適した試験を提案します。
結果の説明は受けられますか?
はい。試験結果についてご不明な点や質問に対応しています。
製品トラブルが発生した場合、どの試験を選べばよいですか?
異物混入、変敗、カビの発生等、トラブルの内容や検体の状態によって適した試験は異なります。
状況をお伺いした上で適した試験を提案します。
論文や学会発表に利用できるデータは取得できますか?
はい。微生物研究者向けの試験項目であれば、基本的に論文や学会発表に活用できます。試験内容やデータの利用についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談下さい。
当社の試験結果は既に多くの学術論文にご活用いただいています。