環境 アンプリコンシーケンス解析

当社では、2025年8月1日よりアンプリコンシーケンス解析に使用するシーケンサーを、MiSeq®(Illumina社)からMiSeq® i100シリーズ(Illumina社)へ切り替えました。
MiSeq i100シリーズは、従来のMiSeqに比べて、より低コストかつ短納期での解析が可能です。
なお、従来のMiSeqでの解析については、メーカーからの当該機器の販売終了などを考慮し、2026年7月末日頃まで継続の予定です。ご希望の方は[従来機「MiSeq」をご利用希望の方]をご覧ください。

※MiSeq®はIllumina社の登録商標です。

特長

  • 土壌、環境水から培養液、発酵食品といった幅広い検体に対応

  • DNA抽出からデータ解析までを一式としたセット価格で提供 (1検体から申し込み可能)

  • データ解析ソフトウェアは2種類から選択可能 【細菌・アーキアの場合】 セット1:Metagenome@KIN (データベース『RDP』あるいは『テクノスルガ・ラボ 微生物同定データベース』) セット2:QIIME2 (データベース『Greengenes』あるいは『SILVA』) 【カビ・酵母の場合】 セット1:Metagenome@KIN (データベース『RDP』) セット2:QIIME2 (データベース『UNITE』)
  • DNA抽出からデータ解析まで全て当社内で作業

概要

土壌、環境水などの多様な生物種が混在する検体中の生物群集を解析する優れた方法のひとつです。生物種が混在する検体から直接抽出した混合DNAについて、検体を識別するためのバーコード配列を付加したプライマーによりPCR増幅~シーケンス解析を行い、一度に数万~数十万の配列を得る手法です。
検体ごとに異なるバーコード配列が付加されているため、数十種類の異なる検体由来の混合DNAを一度に解析しても、バーコード配列をもとに得られた塩基配列がどの検体に由来するかを判別することができます。一度の解析で大量の塩基配列を得ることができることから、短時間でマイナーな細菌(カビ・酵母)の検出も可能です。多検体、多数の塩基配列解析を行う場合のコストパフォーマンスに優れています。
データ解析のソフトウェアは、「Metagenome@KIN」または「QIIME2」の2種類から選択が可能です。

受入可能な検体

検体区分

検体

検体の種類

対象

環境検体

食品

発酵食品、乳酸菌飲料など

細菌・アーキア、カビ・酵母のDNA

活性汚泥

発酵槽の汚泥、下水汚泥など

土壌

一般土壌、砂、火山灰など

発酵検体

堆肥、コンポスト、培養液など

環境水

海水、湖沼水など

DNA抽出物

PCR 増幅が確認されたDNA 抽出物

PCR 増幅が確認できたことを示す電気泳動像を必ずご提供下さい。

必要検体量・送付方法

検体の種類

必要量

留意点および送付方法

食品

10 gまたは100 mL

食品の保存温度で保存、輸送

活性汚泥

5~10 mL

採取後速やかに冷蔵保存、冷蔵輸送

土壌

1~5 g

発酵検体

堆肥、コンポストなど

1~ 5 g

培養液など

5~10 mL

環境水

水道水、濁りの少ない河川水など

100~1000 mL

工業廃水、下水など

50~500 mL

DNA 抽出物

濃度 5 ng/μL

総量 30 μL 以上

(1 領域を追加ごとに+ 15 μL 以上)

抽出後速やかに冷蔵保存、冷蔵輸送

※外洋海水、新戒堆積物などの生物量が少ないと考えられる検体についてはお問い合わせ下さい

解析の流れ

  • DNA抽出/精製

  • PCR増幅

  • PCR産物の定量

  • シーケンス配列決定

  • プライマー配列の除去

  • データ解析

※データ解析の工程はセット1、セット2で異なります。

仕様

対象微生物

細菌 ・ アーキア

カビ・酵母

解析対象 

DNA 

遺伝子領域*¹

  • 16S rDNA V1 ~ V2 領域(細菌)

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(細菌)

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(細菌 ∕ アーキア)

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(細菌 ∕ アーキア ∕ Anammox)*⁸

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(アーキア)

  • 16S rDNA V5 ~ V7 領域*³(細菌)

ITS2 領域

リード数*² 

3万リード以上 / 検体

解析機種

MiSeq i100シリーズ

データ解析*⁴

セット1 :Metagenome@KIN

RDP*⁵ およびテクノスルガ・ラボ「微生物同定データベース」

RDP*⁵

セット2 :QIIME2 *⁶ *⁷

Greengenes database*⁵あるいはSILVA database*⁵

UNITE*⁵

*1 解析領域の違いによる結果の違いについては、当社では考察しません。
*2 3万リード取得を目安に解析を実施しますが、獲得できる配列数は検体の性状により変動します。
*3 植物由来DNAのPCR増幅を抑制し、細菌DNAを検出しやすくします。
*4 データ解析は、セット1またはセット2のどちらかをご選択下さい。
*5 RDP (Ribosomal Database Project)、Greengenes database、SILVA databaseおよびUNITEは公共の解析データベースです。
*6 セット2 (QIIME2) は一次解析までの報告です。二次解析 (多様性解析、統計解析) は、別途追加解析をご指示下さい。
*7 GreengenesまたはSILVAのどちらかをご選択下さい。データベースの違いによる結果の違いについては、当社では考察しません。
*8 標準仕様のV3~V4領域のプライマー配列の一部を改変し、Anammox菌 (嫌気性アンモニア酸化細菌)の検出効率を上げています。

納品内容

報告内容

形式

次世代シーケンサー ( NGS ) によるシーケンス生データ

fastq ファイル

次世代シーケンサー ( NGS ) によるシーケンスデータ( クオリティーフィルタリング、 キメラチェック後 )

fasta ファイル

データ解析結果※

csv ファイル、 html ファイル

※ 詳細は「アンプリコンシーケンスデータ解析 (Metagenome@KIN)」をご参照下さい。 ※ ご依頼内容や検体数によって納品されないファイルがあります。    

■ 報告サンプル (セット1:Metagenome@KIN)

ドーナツグラフ 検体の菌叢を構成する帰属分類群を界 (内側) ~属または種 (外側)へ一つの図として表示します。htmlファイルなので、グラフにカーソルを合わせ、クリックすることで分類群の名前や分類階級をハイライトすることもできます。 群集構造全体の理解を視覚的にサポートします。
解析例
検体間比較グラフ 全検体の、 ある分類階級における帰属分類群の内訳を並べて表示します。 検体間の群集構造の違いを俯瞰する際に便利です。
クラスター解析 デンドログラムおよび、 ヒートマップ画像が分類階級ごとに作成されます。
主成分分析 主成分の二次元プロット画像が分類階級ごとに作成されます。検体間の相違を散布図で示します。

検体間比較グラフ、クラスター解析、主成分分析は、論文投稿を前提とした解像度ではありません。論文投稿を目的とする場合には、別途「アンプリコンシーケンスデータ解析 (QIIME2)」または「統計分析ソフトRによるデータ解析」をご利用下さい。

報告内容

形式

次世代シーケンサー ( NGS ) によるシーケンス生データ

fastq ファイル

QIIME2 出力データファイルデータ解析 ( 一次解析 ) 結果※

代表配列とリード数の一覧

qzv ファイル

相同性検索結果
( 表、 バーチャート )


※ 多様性解析や統計解析(二次解析)は含みません。詳細は「アンプリコンシーケンスデータ解析 (QIIME2)」をご参照下さい。
※ ご依頼内容や検体数によって納品されないファイルがあります。

■ 報告サンプル (セット2:QIIME2)

価格・納期

試験項目

依頼形態

単価 (税抜)*¹

目安納期 (DNA解析)*² *³

アンプリコンシーケンス解析 (細菌・アーキア)

  • 細菌 16S rDNA V1~V2

  • 細菌 16S rDNA V3~V4 

  • 細菌/アーキア 16S rDNA V3~V4 

  • 細菌/アーキア/Anammox 16S rDNA V3~V4 

  • アーキア 16S rDNA V3~ V4 

  • 細菌 16S rDNA V5~V7

アンプリコンシーケンス解析 (カビ・酵母)

  • ITS2

検体にてご依頼の場合

19,000円/検体

24 営業日~

DNA抽出物にてご依頼の場合

12,000円/検体

18 営業日~

fastqファイル納品の場合

18,500円/検体

24 営業日~

DNA抽出物にてご依頼、fastqファイル納品の場合

11,500円/検体

18 営業日~

  • セット2をご選択いただいた場合、 多様性解析や統計解析(二次解析)が可能です費用は一式 +30,000円 (税抜) 納期は+5営業日となります。

*1  2つ以上の領域を同時に解析する場合には、1領域追加ごとにDNA抽出の重複費用として1検体当たり7,000 (税抜)を減額します。
*2  2つ以上の領域を同時に解析する場合には、1領域追加ごとに納期は+5営業日の追加になります。
*3  PCR増幅が確認されないなど検体の性質に帰因する不具合により作業のやり直しが発生する場合は納期を延長させていただく場合があります。

従来機「MiSeq」をご利用希望の方

従来機MiSeqでの解析をご希望のお客様は、本ページ下部の「従来機MiSeqでの解析」用依頼書をダウンロードして、必要事項をご記入のうえ、ご依頼ください。

なお、今回の切り替えにあたり、MiSeqとMiSeq i100シリーズの比較解析を当社にて実施いたしました。
結果を以下よりご確認いただけますので、ご検討の際の参考資料としてぜひご覧ください。
▶ MiSeq®とMiSeq® i100シリーズの比較解析結果(当社実施)

※異なるシーケンサープラットフォームの利用による結果の違いについては、当社では考察しません。あらかじめご了承ください。

■価格・納期

試験項目

単価 (税抜)*¹

目安納期 (DNA解析)*²

アンプリコンシーケンス解析(細菌・アーキア)

  • 細菌 16S rDNA V1~V2

  • 細菌 16S rDNA V3~V4 

  • 細菌/アーキア 16S rDNA V3~V4 

  • 細菌/アーキア/Anammox 16S rDNA V3~V4

  • アーキア 16S rDNA V3~ V4 

  • 細菌 16S rDNA V5~V7

アンプリコンシーケンス解析(カビ・酵母)

  • ITS2

22,000円/検体

40営業日~

  • セット2をご選択いただいた場合、 多様性解析や統計解析(二次解析)が可能です費用は一式 +30,000円 (税抜) 納期は+5営業日となります。

*1  2つ以上の領域を同時に解析する場合には、1領域追加ごとにDNA抽出の重複費用として1検体当たり3,000 (税抜)を減額します。
*2  2つ以上の領域を同時に解析する場合には、1領域追加ごとに納期は+5営業日の追加になります。

■仕様

対象微生物

細菌 ・ アーキア

カビ・酵母

解析対象

DNA

遺伝子領域*¹

  • 16S rDNA V1 ~ V2 領域(細菌)

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(細菌)

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(細菌/アーキア)

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(細菌/アーキア/Anammox)*⁸

  • 16S rDNA V3 ~ V4 領域(アーキア)

  • 16S rDNA V5 ~ V7 領域*³(細菌)

ITS2 領域

リード数*²

1 万リード以上 / 検体

解析機種

従来機MiSeq

データ解析*⁴

セット1 :Metagenome@KIN

RDP*⁵ およびテクノスルガ・ラボ「微生物同定データベース」

RDP*⁵

セット2 :QIIME2 *⁶ *⁷

Greengenes database*⁵またはSILVA database*⁵

UNITE*⁵

*1 解析領域の違いによる結果の違いについては、当社では考察しません。
*2 クオリティーフィルタリング、キメラチェック後のリード数です。
*3 植物由来DNAのPCR増幅を抑制し、細菌DNAを検出しやすくします。
*4 データ解析は、セット1またはセット2のどちらかをご選択下さい。
*5 RDP (Ribosomal Database Project)、Greengenes database、SILVA databaseおよびUNITEは公共の解析データベースです。
*6 セット2 (QIIME2) は一次解析までの報告です。二次解析 (多様性解析、統計解析) は、別途追加解析をご指示下さい。
*7 GreengenesまたはSILVAのどちらかをご選択下さい。データベースの違いによる結果の違いについては、当社では考察しません。
*8 標準仕様のV3~V4領域のプライマー配列の一部を改変し、Anammox菌 (嫌気性アンモニア酸化細菌)の検出効率を上げています。

関連ページ

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ご依頼前の同意事項

・ メディア(DVD-R)による配送納品のみとなります。
ご依頼前の同意事項 (共通) を必ずご確認下さい。
・ お預かりした検体を返送する場合、当社は試験前の検体と同等の状態を保証するものではありません。
・ ご依頼前の解析手法などの選択についてのご相談には可能な範囲で対応しますが、最終的なご判断はお客様の責任にてお願いいたします。

MiSeq i100シリーズでの解析(推奨)
従来機MiSeqでの解析